サイクルイベント by ギアステーション

2017年6月3日-4日(関口)
第2回富士山ダウンヒル
今回も橋本店長一時帰国中のgearstation番外編。gearstationオリジナルメンバーと河口湖発、西湖、精進湖、本栖湖を経て、富士宮に至る第2回富士山ダウンヒルのレポートです。
昨年同様、河口湖9時集合。因みに筆者は初めて新宿から高速バス輪行で参戦、途中中央高速の事故渋滞に巻き込まれ、あえなく三十分遅刻💦、皆さんすみませんでした。

言うまでもなく富士山は日本一の標高を誇る名山にして、信仰の対象と芸術の源泉として世界文化遺産に登録。独立峰ゆえに四方から望むその美しい姿は、感動の一言につきます。昨年は薄曇の中、富士山を拝むことが出来ませんでしたが、今年はここ一年の品行方正な勤務態度が認められ?残雪を冠す富士山の姿を沢山写真に納めることが出来ました。

河口湖駅を出発、船津浜から富士山を背に、河口湖を反時計回りに走り、最も賑やかな河口湖大橋を抜け、湘北ビューラインを西に進みます。トンネルの側道(湖側の旧道)を辿る都度仰ぎ見る、湖対岸正面の雄大な富士山、心洗われる気分です。

長浜交差点を右折、西湖に向かい、文化祠まで1キロの登りが今回最大の難所、といえば難所。標高902mまで上がり、西湖のキャンプ場の点在する湖畔の道を進みます。

御殿庭の軽い登りを越え、東洋のスイス精進湖を抜けると、富士五湖で水深138m、透明度一番、群青色に澄んだ湖水をたたえる本栖湖に到着です。周囲の山々が湖面に映り込む神秘的な情景が印象的です。

旧5千円札、現千円札の「逆さ富士」は、大正~昭和の写真家、岡田紅陽の『湖畔の春』がモデルで、本栖湖北岸にその案内板があります。今年は「金運に恵まれそうな『湖畔の春』の舞台から富士山を拝んで金持ちになろう」という素朴で純粋な動機から、樹木が覆い被さる本栖湖の周回路を一周しました。

因みに件の看板の立つ浩庵荘から、本栖湖越しに富士山を眺めると、お札の図柄と微妙に違います。実は浩庵荘の裏山を登ると『湖畔の春』のアングルと一致する場所があるそうで、そこで岡田紅陽が昭和10年5月撮った写真が、昭和59年に発行された五千円札の図案となったのだそうです。

本栖湖から樹齢300年の檜、松、楓が群生する国道139号線を走るうち、突如視界が開ける辺りが朝霧高原。北海道を彷彿させる広大な牧場が広がり、向こう正面に富士山がそびえています。

ここから富士山ダウンヒルが始まり、最高時速51.3キロで一気に駆け抜けると、本日最後の観光ポイント白糸の滝に到着です。

白糸の滝は、国の名勝・天然記念物にもなった名瀑で、湾曲した岩壁は高さ20m、幅200mは日本最大。前面岩壁から流れ出る湧水は富士の伏流水で、岩盤から幾筋も水が流れ落ち、白い絹糸を織りなす美しい滝です。

ここから富士宮に向かいます。今年も、吉原の居酒屋「ねぶた」で反省会を踏まえた宴会で、台湾の想い出話に夜は更けてゆくのでした。

昨年「朝霧高原ミルクランド」で食した「富士宮焼そば」。今回は時間の関係で食べ損なったので、早速「富士宮やきそば!」を注文すると、女将が申し訳なさそうに曰く、「富士宮やきそばによく似たものは作れるが「富士宮やきそば」は出せない」と。理由を調べて見ました。

「富士宮やきそば」は、専用麺一玉80円、専用ソース300ml300円、肉かす一袋200円、にぼし粉で、作れます。が、登録商標があり、「富士宮やきそば」の名称で商売するには、①富士宮やきそばの焼き方、富士宮の文化・歴史・観光について学ぶ「富士宮やきそばアカデミー」を受講、「麺許皆伝書」を取得(毎年1回11月開催)②「富士宮やきそば学会」で富士宮市自体を学び、店名住所を同学会に登録(登録料3,000円)の上、富士宮やきそばの幟旗(1枚4,600円)を購入。③富士宮の製麺会社(曽我めん、さのめん他2社)と仕入契約と売上に対する商標使用料契約を交わす必要があるそうです。

とは言え、女将さんのオリジナル(富士宮)やきそば、美味しかったですよー。

翌朝は「桜エビ」を求め、田子の浦の海岸線を西進、富士川を越え、えびの町として知られる静岡市清水区由比に向かいます。2日目も快晴、駿河湾の向こうには遠く伊豆半島が見えます。

ここ由比漁港の毎年5月の桜えびまつりには、獲れたての桜えびやしらすの即売・飲食など、いろいろなお店が所狭しと並ぶそうです。因みにこの日、由井港漁協直売所は「浜のかきあげ」を買う長蛇の列でした。

昼食は、街道沿いの由井の老舗海産問屋「いちうろこ」の軒先に腰をかけて「海老かき揚げ丼」648円、絶品でした。

「いちうろこ」は、文政元年(1818年)、駿河湾の幸を原料にかまぼこ造りを主とした海産物商として創業。添加物に頼らず手手作りのかまぼこ、静岡名産の黒はんぺん、揚げ物、桜えび・しらすなど、数多く取り扱い、店構えも「かまぼこの老舗」として良い味出しています。

歌川広重の『東海道五十三次』の「由比宿」では、太平洋を臨む断崖絶壁の薩埵峠に、今にも落ちそうな旅人が描かれています。嘉永7年(1854年)の大地震にともなう隆起で申し訳程度の海岸線が出来、現在そこに東海道本線、国道1号線、東名高速道路が犇いています。そんなわけで、蒲原駅で富士山とは一旦お別れ、難所(薩埵峠)越えは東海道線の輪行で切り抜け、愈々最後の景勝地、羽衣伝説の三保の松原を目指します。

清水と言えば、さくらももこの故郷。清水駅南口から直ぐの「ちびまる子ちゃんランド」を横目に見ながら「自転車・歩行者用道路(静岡県道377号静岡清水自転車道線)」を進みます。この道は、1916年に東海道線の貨物支線として開業した、清水駅と三保駅とを結ぶ日本国有鉄道旧清水港線の跡地で、1984年(昭和59年)に廃止の後、自転車・歩行者用道路(静岡県道377号静岡清水自転車道線)として整備したものです。

そういえば台湾の台東にも日本統治時代に建設された「旧花東線鉄路(花蓮ー台東)」のうち海岸(台東舊站)までの部分が1982年に廃線、「舊鉄道路廊」としてサイクリングロードに転用しており、雰囲気もよく似ています。懐かしいな。

と言うわけで、今年も富士山ダウンヒルも無事終了、富士の絶景をしっかり堪能できました。メンバーの皆さんお疲れ様でした。来年はいよいよ山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖、富士五湖一筆書き制覇ということで、よろしくお願いします。